(ここで示される系統樹中の各ノードに示されている数字は、ベイス解析で用いられる事後確率を示します。数字が大きい方が確率が高くなります。)
(1) ITSについて
結果はこのPDFを参照。図中のローマ数字は参考文献1で示されているものと同じグループ(クレード)分けをしたものです。
図に示されるように、タチコゴメグサはグループⅣcとⅣdに現れますが、ほとんどの種がEuphrasia節に分類されているものです。ミヤマコゴメグサとヒメコゴメグサはグループⅣbで、タスマニア・チリ・ニュージーランドなど、南半球に分布するものの中に位置づけられています。
(2)TrnLイントロン,TrnL-TrnFスペーサー + atpB-rbcLスペーサー について
結果はこのPDFを参照。
図に示されるように、タチコゴメグサは、ユーラシア大陸に分布するほとんどがEuphrasia節に属するグループの中に位置づけられますが、ミヤマコゴメグサはチリに分布する種の中に、ヒメコゴメグサは台湾に分布する種の中に位置づけられています。ミヤマコゴメグサがチリ種の中に位置づけられることは、不自然な気がしますが、このようになってしまうのは、NCBI遺伝子データバンクに登録されているaptb-rbcLの遺伝子情報が少なく、チリの他の3種(E.antarctica , E.chrysantha , E.formosissima)にはありません。ということは、先の参考文献1のG.Gussarovaらの結果もatpB-rbcLの情報が無い中で示されたものである、ということなのですが、このような理由で、ほとんどTrnL-TrnFの情報に基づいて系統樹がつくられたような状況のためと思われます。
いづれにせよ、ここでもタチコゴメグサはユ-ラシア大陸に分布する種に近いが、ミヤマコゴメグサやヒメコゴメグサは、やはり南方に分布する種に近いことが示されました。
(3) rps2+TrnL-TrnF について
結果はこのPDFを参照(図中HS-repはヒメコゴメグサ、MS-repはミヤマコゴメグサを示す。)
図に示されるように、やはりタチコゴメグサはEuphrasia節の中に現れ、ミヤマコゴメグサとヒメコゴメグサは台湾やボルネオなどのMaleisianae節に近いところに位置づけられる。
(4) matKについて
結果はこのPDFを参照
やはりここでも、タチコゴメグサはEuphrasia節の中に位置づけられ、ミヤマコゴメグサとヒメコゴメグサは少し外れたところに位置づけられます。
なお、ニュージーランドで採集した2種については、(1)~(4)の結果に示されるように、ニュージーランドやオーストラリアの種の中に位置づけられていますが、種名までは特定できませんでした。